溺



その行為が愛だと思っていたわけじゃない


ただ同じ血のぬくもりを知るにはそうするより他の術を知らなかった


母はもう母として俺を抱きしめてはくれなかった


叔父も叔父として俺を甘えさせてはくれなかった


だから

 


犬になることを選んだ


主人が望むことに疑問など持たず理由など考えず


ただ与えられた仕事をこなしていれば犬としては褒めて貰える


裏切るのも殺すのも、主人の望みだから仕方がないのだと思える


どうせしなければならないことなら、心は痛まない方がいい


辛くなったら少しだけ逆らって、ねじ伏せられれば諦められる


この人には逆らえないから仕方がない


だから俺のせいじゃない




・・・そうしていつしか仕事のたびにその腕を求めた





タグ
設定されたタグはありません。
コメント
コメントはまだありません。
他のイラスト
メニュー
TOP